お位牌の処分、どうすれば?魂抜き(閉眼供養)からお焚き上げまで、正しいご供養の方法

お仏壇の中心で、静かにご家族を見守ってきた、お位牌。 故人そのものであるかのように、毎日手を合わせてきた、とても大切なもの。 だからこそ、様々な事情で手放さなければならなくなった時、「どう処分すれば良いのか」と、深く悩まれるのは当然のことです。

「ただのゴミとして捨てるなんて、とんでもない」 「でも、ずっと持ち続けることもできない…」

この記事では、そんなお悩みを抱える皆様のために、お位牌の正しいご供養の方法について、順を追って丁寧にご説明いたします。

そもそも、お位牌とは何か

まずご理解いただきたいのは、お位牌が単なる「故人の名前が書かれた札」ではない、ということです。 仏教においてお位牌は、開眼供養(かいげんくよう)という儀式を経て、故人様の魂が宿る「依り代(よりしろ)」であると考えられています。つまり、ご家庭でお参りするための、小さな「ご本尊様」のような存在なのです。 だからこそ、お役目を終える際には、それにふさわしい、丁重な手続きが必要となります。

必ず行わなければならない「魂抜き(閉眼供養)」

お位牌を整理する上で、絶対に欠かすことのできない儀式。それが「閉眼供養(へいがんくよう)」です。一般に「魂抜き(たましいぬき)」や「お性根抜き(おしょうねぬき)」とも呼ばれます。

これは、僧侶がお経を唱えることで、お位牌に宿られている故人様の魂に、安らかにその場所からお移りいただくための儀式です。この供養を執り行うことで、お位牌は「魂の宿る神聖なもの」から、ただの「木の札」へと還ります。

この儀式を経ずに、お位牌をご自身の判断で処分してしまうことは、絶対に避けなければなりません。

閉眼供養の後の、お位牌の行方

魂抜きを終えたお位牌は、その後、お寺でお預かりし、お焚き上げによって浄火供養いたします。

「お焚き上げ(おたきあげ)」とは、皆様の想いが込められた品々を、読経の後、清らかな炎によって天にお還しする、尊い儀式です。ただ燃やすのではなく、感謝の気持ちと共に、その役目を終えたことを仏様にご報告する意味合いがあります。

周遍寺では、皆様からお預かりしたお位牌を、責任をもって、このお焚き上げまで執り行います。

複数の位牌をまとめる「弔い上げ」という考え方

お仏壇の中に、たくさんのお位牌が並び、手狭になってくることもあります。 そのような場合、「弔い上げ(とむらいあげ)」といって、故人様の三十三回忌や五十回忌などを節目に、個人の魂はご先祖様代々の霊位に仲間入りするという考え方があります。

この節目に、個人のお位牌は閉眼供養をして整理し、ご先祖様のお名前をまとめた「繰り出し位牌」や「過去帳」に、そのお名前を一本化する。これもまた、古くから伝わる、丁寧で賢明なご供養のかたちです。

おわりに

お位牌の整理は、ご家族の歴史の一つの区切りであり、故人様への深い敬意を示す行いです。 「うちの場合はどうだろう」「このお位牌はどうすれば」と悩まれた際は、決してご自身だけで判断なさらず、まずはお気軽にご相談ください。

一つひとつのお位牌に込められた、皆様の想いを大切に、周遍寺が心を込めてお手伝いさせていただきます。

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