故人の心に寄り添う「遺品整理」。お仏壇・お守りのご供養と、ご自身の心の整え方

大切な方を亡くされた後、ご遺族が向き合うことになる、遺品整理。 それは、単に部屋を片付けるという作業ではありません。一つひとつの品を手に取るたびに、故人様との思い出がよみがえり、様々な感情が胸に去来する、深く、そして時には辛い時間です。

physicalな大変さもさることながら、ご自身の心をどう整え、向き合えば良いのか。 また、「お仏壇やお守りは、どう扱えばいいの?」という切実な疑問も生まれます。

今回は、そんな遺品整理という大切な時間について、お寺の観点から、その向き合い方と具体的なご供養の方法をお話しします。

遺品整理は、故人様への最後の「ご供養」です

まず、心に留めていただきたいこと。それは、遺品整理が、故人様へ捧げることのできる、最後の対話であり、尊い「ご供養」の一つである、ということです。

故人が愛用した品々、大切にしていた趣味の道具。それらに触れることは、その方が生きてこられた証、その人生そのものに触れることに他なりません。 「こんなものを、大切にしていたんだな」 「この服を着て、笑っていたな」 そうして思い出に浸り、在りし日の故人を偲ぶ。その時間こそが、何よりの追善供養となります。

ですから、どうか焦らないでください。辛い時は無理をせず、一つひとつ、ご自身のペースで進めることが大切です。

お仏壇・お位牌・お守りの、丁重なご供養

遺品整理の中で、最も扱いに悩むのが、信仰に関わる品々ではないでしょうか。これらは、決して粗末に扱うことはできません。

  • お仏壇・お位牌 長年にわたりご先祖様の魂が宿り、ご家族が手を合わせてきたお仏壇やお位牌。これらを処分する際には、お墓じまいの時と同じく、その魂を抜くための「閉眼供養(へいがんくよう)」という儀式が不可欠です。この供養を経て、お仏壇は「信仰の対象」から、ただの「家具」へと還り、安心して整理することができます。
  • お守り・お札・神棚など 神社仏閣でいただいた、祈りの込められた品々。これらは、感謝の気持ちを込めて、専門の場所でご供養するのが習わしです。お寺や神社では、こうした品々をお預かりし、読経の後、浄火によって天へお還しする「お焚き上げ」を行っています。

これらの品々の扱いに困られた際は、決してご自身で判断せず、まずはお寺にご相談ください。周遍寺では、皆様からお預かりした大切な品々を、責任をもって丁重にご供養いたします。

ご自身の心を、どう整えるか

遺品整理は、悲しみや寂しさが改めてこみ上げてくる、心の負担が大きい作業です。 そんな時は、どうか一人で抱え込まないでください。ご家族やご親族と、故人の思い出を語り合いながら進めるのも良いでしょう。

また、作業に疲れたり、気持ちが沈んだりした時は、お寺に足を運んでみてください。 静かな本堂で手を合わせ、心を落ち着ける。住職に、今の気持ちを少し話してみる。それだけで、また明日から向き合う力が湧いてくるかもしれません。

おわりに

遺品整理は、故人様の人生を敬い、感謝を伝える、最後の贈り物です。 周遍寺は、その大切な時間に、皆様の心に寄り添う存在でありたいと願っています。 物に関すること、心に関すること、どんな些細なことでも、どうぞお気軽にご相談ください。

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