「墓じまい」で兄弟と揉める前に。大切な家族と、円満に話を進めるためのヒント

ご先祖様と、家族の未来を想って、一大決心をした「墓じまい」。 しかし、その想いを兄弟に伝えた途端、「そんなことはできない」「親不孝だ」と、思わぬ強い反対にあってしまった…。

良かれと思って切り出した話が、大切な兄弟との間に、深い溝を作ってしまう。 これは、墓じまいを考える上で、最も悲しく、そして辛いトラブルの一つです。

なぜ、仲の良かったはずの兄弟と、お墓のことで揉めてしまうのでしょうか。 それは、どちらかが間違っているからではありません。それぞれが、違う立場から、ご先祖様と家族を、真剣に想っているからです。

なぜ、兄弟と意見が対立するのか

兄弟間での対立は、主に、それぞれの立場や想いの違いから生まれます。

  • 「現実」をみる兄弟と、「感情」を大切にする兄弟 お墓から遠く離れて暮らし、管理の負担や将来の無縁化を現実的に心配する兄弟。一方、お墓の近くに住み、子どもの頃からの思い出や、親への想いを大切にしたいと考える兄弟。どちらの気持ちも、本物です。
  • 「費用」を負担する兄弟と、そうでない兄弟 年間管理費や、将来の墓じまい費用を、主に誰が負担していくのか。その金銭的な負担の度合いによって、お墓に対する考え方が変わってくるのは、ある意味で当然のことです。

これらの「立場の違い」を理解しないまま、自分の正しさだけを主張してしまうと、話はこじれてしまいます。

円満な合意形成のための、3つのステップ

では、どうすれば、円満に話を進めることができるのでしょうか。

ステップ1:「決定」ではなく、「相談」から始める

最もやってはいけないのが、「もう墓じまいすることに決めたから」と、一方的に決定事項として話してしまうことです。これでは、相手は「無視された」と感じ、感情的に反発してしまいます。

まず、「お父さんたちのお墓、この先どうしていくのが一番良いか、一緒に考えてほしいんだけど…」と、全員で考えるべき「共通の課題」として、問題を提起することから始めましょう。

ステップ2:相手の気持ちを、まず全て受け止める

相手の意見に対して、すぐに「でも」「だって」と反論するのは、対立を深めるだけです。 もし、兄弟が「お墓をなくすなんて、寂しすぎる」と言ったなら、まずは「そうだよね、寂しいよね。僕も(私も)同じ気持ちだよ。あそこは思い出の場所だからね」と、相手の感情を、一度まるごと受け止め、共感を示しましょう。

相手は、「自分の気持ちを分かってくれた」と感じることで、初めて、あなたの意見にも耳を傾ける心の余裕が生まれます。

ステップ3:「感情」と「現実」を分けて、共通のゴールを目指す

話し合いの際には、次の二つを分けて考えることを意識すると、冷静に進められます。

  • 感情・願い:「ご先祖様を、これからも大切に供養していきたい」
  • 現実・事実:「しかし、跡継ぎがおらず、私たちも年をとり、管理が難しくなってきている」

この「願い」の部分は、おそらく兄弟全員、共通のはずです。 その上で、「じゃあ、この願いを、今の現実に合わせて叶えるためには、どんな方法があるだろう?」と、共通のゴール(永代にわたる、安心な供養)を目指す仲間として、具体的な選択肢(永代供養など)を検討していくのです。

おわりに

ご先祖様が何よりも望んでおられるのは、お墓というかたちが立派に続くことよりも、子孫であるあなた方兄弟が、仲良く、幸せに暮らしてくれることです。 お墓のことで、大切な家族の和を乱してしまっては、元も子もありません。

もし、どうしてもご兄弟での話し合いが難しい場合は、お寺のような第三者が間に入ることで、冷静に対話ができることもあります。 私たち周遍寺は、皆様ご家族が、心を一つにして、最善の道を見つけられるよう、いつでもご相談に乗らせていただきます。

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