「離檀料の相場は?」と悩む前に。お布施の心で考える、円満な墓じまいの進め方

墓じまいを決意し、具体的な準備を進める中で、多くの方が「離檀料」という壁に突き当たります。

「一体、いくら請求されるのだろう…」 「離檀料の相場って、どのくらいなの?」 「高額な請求をされて、トラブルになったらどうしよう…」

インターネットで「離檀料 相場」と検索し、その金額の幅広さに、かえって不安が増してしまった、という方もいらっしゃるかもしれません。

そのお気持ちは、痛いほどよく分かります。しかし、円満な墓じまいへの道は、相場を調べることとは、少し違う場所にあるのです。

離檀料に、決まった「相場」は存在しません

まず、最も大切なこととして、離檀料には、法律で定められたり、業界で一律に決まっていたりするような「相場」は、厳密には存在しません。 なぜなら、離檀料は、サービスの対価である「料金」ではなく、本来は、**これまでお世話になったお寺(菩提寺)への、感謝の気持ちを表す「お布施」**だからです。

皆様のご家庭が、何十年、あるいは何百年という永い間、そのお寺に護っていただいてきた歴史。ご先祖様の法要を、その都度、丁重に執り行っていただいたご恩。 その関わりの深さや、感謝の度合いは、家ごとに全く異なります。ですから、全ての家に同じ「相場」を当てはめること自体が、そもそも、馴染まないのです。

トラブルを避ける鍵は「感謝」の気持ちを、真摯に伝えること

離檀に関するトラブルの多くは、お金の金額そのものよりも、感情的な行き違いから生じます。 円満な離檀のために最も大切なのは、金額の話をする前に、まず、これまでの感謝の気持ちを、ご自身の言葉で、真摯にお伝えすることです。

突然、「お墓を撤去しますので、書類をお願いします」と事務的に切り出すのではなく、 「長年にわたり、私どもの先祖を丁重にお守りいただき、誠にありがとうございました。実は、跡継ぎがいない(あるいは、遠方で管理が難しい)といった事情がございまして、大変心苦しいのですが、この度、お墓を整理することを考えております」 このように、感謝と、やむを得ない事情を丁寧にお話しすることで、お寺様も、あなた様の状況を理解し、親身に相談に乗ってくださるはずです。

円満な離檀に向けた、お話の進め方

感謝の気持ちをお伝えした上で、具体的なお話に進みます。

「離檀料は、おいくらですか?」と直接的に聞くのではなく、 「つきましては、これまでの感謝の気持ちとして、お布施をお包みしたいと考えているのですが、皆様、どのようになさっておられますでしょうか」 といったように、あくまで「感謝のお布施」という姿勢で、丁寧にお伺いを立てるのが良いでしょう。

お寺様も、大切な檀家さんが一人いなくなるのですから、寂しいお気持ちもおありです。相手のお気持ちも尊重し、敬意を払った対話を心がけることが、円満な解決への一番の近道です。

周遍寺は、皆様の新たな一歩を応援します

私たち周遍寺は、皆様がこれから新しいご供養のかたちへと踏み出す、その新たな一歩を、心から応援しております。 他の寺院様との離檀のお話し合いに、私どもが直接介入することはできません。しかし、無事に、そして円満に、これまでのお寺様との関係を締めくくられた皆様を、いつでも温かくお迎えする準備ができております。

皆様の大切なご決断が、争いごとではなく、感謝と敬意に満ちた、穏やかなものとなりますよう、心より念じております。

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