お寺との「墓じまいトラブル」を避けるために。知っておきたい、円満離檀の3つの心得

墓じまいを決意したものの、今お世話になっているお寺(菩提寺)との間で、トラブルになってしまったらどうしよう…。

「高額な離檀料を請求された、という話を聞いた」 「一方的に話を進めて、お寺を怒らせてしまったら…」 「必要な書類に、ハンコを押してもらえなかったら…」

そのような不安から、お寺への第一報をためらってしまい、時間だけが過ぎていく。これは、墓じまいを考える多くの方が、共通して抱えるお悩みです。

しかし、ご安心ください。 これからお話しする「3つの心得」を大切にすれば、ほとんどのトラブルは未然に防ぎ、ご先祖様も、お寺様も、そしてあなた様自身も、誰もが納得できる、円満な墓じまいを実現することができます。

心得1:事務的な話の前に、まず「感謝」を伝える

墓じまいで最も感情的な対立を生みやすいのは、ご先祖様への供養の気持ちよりも、お金や手続きの話を優先してしまうことです。

お寺に連絡する際、開口一番「墓じまいをしますので、書類をお願いします」と、事務的に切り出すのは、絶対に避けましょう。 お寺様からすれば、何代にもわたって護ってきたご先祖様への配慮も、これまでの付き合いへの感謝もない、あまりに一方的な通告だと感じてしまいます。

まず伝えるべきは、**「これまで、長年にわたり、本当にお世話になりました」**という、心からの感謝の言葉です。 この一言があるだけで、お話の雰囲気は全く変わります。これは、単なる交渉のテクニックではありません。あなた様とご先祖様が、これまでいただいてきたご恩に対する、人としての礼儀です。

心得2:隠さず、正直に、そして「早めに」相談する

トラブルは、不信感から生まれます。 お寺様に何も知らせないまま、石材店や、新しい納骨先(永代供養先)の話だけを先に進めてしまう。そして、全てが決まった後で、「事後報告」をする。これは、お寺様の心証を最も損ねる行為の一つです。

ご自身の家庭の事情(跡継ぎがいない、遠方で管理ができない等)を正直にお話しし、「このような理由で、墓じまいを考えているのですが、どう進めたら良いでしょうか」と、早い段階で「相談」という姿勢で、お話を切り出すことが大切です。 あなた様がお寺を信頼し、敬意を払っているという姿勢が伝われば、お寺様も、きっと親身になって、そのお悩みに耳を傾けてくださるでしょう。

心得3:お寺様の立場と、これまでの慣習を尊重する

お寺は、単なる墓地の管理者ではありません。皆様のご先祖様を、何十年、何百年と供養し続けてきた、宗教的なパートナーです。そのお立場への、敬意を忘れてはいけません。

  • 離檀料について 「料金」として請求するのではなく、「お布施」として、これまでの感謝の気持ちをお伝えしましょう。「離檀にあたり、感謝のお気持ちをお包みしたいのですが」という姿勢でお伺いを立てれば、話は円滑に進みます。
  • 儀式や手続きについて お墓から魂を抜く「閉眼供養」など、お寺には、その宗派の教えに基づいた、長年の儀式や慣習があります。その進め方を尊重し、従うことが、円満な離檀への道です。

おわりに

「感謝」「正直さ」「敬意」。 この3つの心得があれば、お寺との関係をこじらせることなく、穏やかな気持ちで、墓じまいという大切な節目を乗り越えることができます。

私たち周遍寺は、皆様が、これまでお世話になったお寺様とのご縁を、円満に締めくくられることを、心から願っております。 そして、その大切なご区切りを終えられた皆様を、新たなご供養の場所として、いつでも温かくお迎えする準備ができております。

目次