「墓じまいに親戚が反対…」その時、どうする?円満な合意を得るための、丁寧な進め方

兄弟間での合意も得られ、いざ墓じまいへ、と思った矢先。叔父や叔母、いとこなど、日頃お世話になっている親戚から、思わぬ反対を受けてしまった…。

「先祖代々の墓をなくすなんて、とんでもない」 「お盆に、みんなどこに集まればいいんだ」

あなたにとっては、熟慮の末の現実的な決断でも、ご親族にとっては、大切な思い出の場所が失われる、感情的な出来事として受け止められてしまう。これは、墓じまいにおいて、非常に多く見られる、難しい問題です。

しかし、丁寧な準備と、相手の心に寄り添った対話を心がけることで、その対立を、深い「理解」へと変えていくことは、決して不可能ではありません。

話し合いの前に、準備すべきこと

感情的な反対に対して、こちらも感情で返してしまっては、話はこじれる一方です。まずは、冷静に、そして周到に、話し合いの準備を整えましょう。

  • 1.墓じまいをしたい「明確な理由」を整理する 「管理が大変だから」といった漠然とした理由ではなく、「お墓までの距離が遠く、高齢の身では頻繁に通えない」「年間管理費の負担が、経済的に厳しい」「この先、お墓を継ぐ者が誰もいない」など、誰が聞いても納得せざるを得ない、具体的な事実を、きちんと整理しておきましょう。
  • 2.「新しい供養の場所」を、具体的に提示する ご親族の不安は、「ご先祖様が、ないがしろにされるのではないか」という点に集約されます。その不安を払拭するため、「こちらが、新しい永代供養の場所です」と、写真やパンフレット、ウェブサイトなどを見せながら、具体的に説明できるようにしておきましょう。「これまで以上に、手厚く、永代にわたって供養していただける、安心できる場所です」と示すことが重要です。
  • 3.費用の計画を、明確にしておく 墓じまいにかかる費用や、永代供養料について、誰がどのように負担するのか、ご自身の計画を明確にしておくことで、あなた様の本気度と、計画性の高さが伝わります。

話し合いの場で、心がけるべきこと

準備が整ったら、いよいよ対話の場に臨みます。

  • 1.まず、反対意見を、遮らずに全て聞く ご親族の、お墓に対する想い、思い出、そして反対する理由。それらを、まずは「そうですよね」「お気持ちは、よく分かります」と、共感を示しながら、最後まで真摯に耳を傾けましょう。自分の意見を言うのは、その後です。
  • 2.感情的な意見に、準備した「事実」で応える 「ご先祖様に申し訳ない」という感情的なご意見に対しては、「私も、本当に心苦しいです。しかし、このまま誰も管理できず、荒れ果てた無縁仏にしてしまうことこそ、ご先祖様に申し訳ないと考え、今回の決断に至りました」というように、あなたの想いと、具体的な事実を、冷静にお伝えします。
  • 3.新しい「集いの場所」を提案する 「お盆の拠り所がなくなる」というご意見に対しては、「これからは、この周遍寺というお寺の、きれいな永代供養墓の前で、みんなで集まり、気持ちよく手を合わせませんか」と、前向きな代替案を提案しましょう。

おわりに

ご親族の反対は、多くの場合、悪意からではなく、ご先祖様を大切に想う心と、現状への情報不足から生じています。 ですから、準備を尽くし、敬意を払って対話を重ねれば、きっとご理解をいただけるはずです。

私たち周遍寺では、ご親族皆様で見学にお越しいただくことも、歓迎しております。 皆様の家族の輪が、この一大事を乗り越え、より一層強く結ばれることを、心から願っております。

目次